先日、筑波にある実験植物園のセミナーを受講しに行って参りました。
遺伝子解析による植物分類についてのセミナーなのですが、これを通して本当のエコロジーとは何かを学びに行って参りました。
宗教家が「エコロジー」を口にします。
どこまで本当の理屈がわかって口にしているんだろう?と、おこがましくも疑問に思う時があります。もちろん、自問自答の意味合いが色濃いのですが。
環境破壊について、二酸化炭素が悪者のように取りざたされ、当たり前のように二酸化炭素を減らそうと一般に流布されています。
しかし、これは見方を変えるととても危険な理屈です。
なぜなら、二酸化炭素が必要以上に少なくなると植物が枯れてしまいます。植物が枯れてしまうと酸素が無くなります。そしてすべての生物が死に絶えます。当たり前のことなのに、目が向いてないかのようです。
問題なのは、二酸化炭素が多くなったことではなくて、二酸化炭素を消費する植物(森林)を人間が過剰に伐採したこと、または森林を少なくする環境に追いやった事にあります。
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筑波実験植物園の温室には、インド菩提樹が植えられています。

皆さんご存知のように、菩提樹は、お釈迦様がお悟りを開いた際に、その樹下にお座りになっていたことから聖樹とされています。
発芽し一年で10mほども成長する木だと、インドの人から聞いたことがあります。
実際に樹高は30mにまで達し、インドではそこかしこによく見られる木の一つです。
私もインドを訪問した時によく見かけました。
幹周りは太く、葉っぱはハート型をして特徴的で忘れることのできない木の一つです。
何よりこの木の下でお釈迦様がお悟りを開いたのかと思うと、感慨深いことしきりでした。

この木は、現在では日本の風土に合うように改良され、鉢植えなどで出回っています。
特徴的なハート型の葉っぱは見ていてかわいいものですし、それが幾重にも重なって風に揺られる姿は、同時に高貴な様子にも写ります。

この菩提樹のような成長の早い木は、二酸化炭素吸収に特に即効性があるのではないかと思います。
但し、気をつけなければいけないのは、実はこのインド菩提樹は「ストラングラー・ツリー」(絞め殺しの木)の一種で、そばにある木をその気根(空気中に出る根っこ)で枯死させてしまう生命力の旺盛な木なのです。
とはいえ、自然界がこの木ばかりになっているかというと、そうではありません。
そこには自然の摂理が働き、それぞれの木がそれぞれに合う環境でしか生きられなくなっています。
自然界には、絶対的な法則があります。
我々人間が破壊している自然を取り戻そうとするなら、その法則をよく理解し再現する方向で取り組まなくてはいけないような気がします。
二酸化炭素を減らすことばかりを考えるのでは無く、それを消費する樹木をもっと増やすことを励行しなければいけません。
但し、闇雲に木を植えればいいというものではありません。
もっと自然の法則に気を配って、なるべくそれに沿う形で緑化を進めていければと思います。
特に二酸化炭素を多く放出する企業などには、より深く掘り下げた形での緑化をお願いしたいと思わずにいられません。
もしその法則に背くようなことがあれば、次に絞め殺されるのは我々人間かもしれませんね。