明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
ここに一体の仏像があります。
本堂に安置されている虚空蔵菩薩様で、長きにわたり恵運寺と檀信徒の皆様、ご参拝いただいた皆様を見守ってくれています。

しかしながら、右手に護持されているはずの智恵の宝剣がありません。
虚空蔵菩薩様の象徴ともいうべき持物が欠損しています。
今からさかのぼること50年前、江戸時代より維持していた本堂が老朽化していた所に、当時、甚大な被害もたらした台風の影響で屋根が崩れ落ちるという災難に見舞われました。
直後の様子

おそらくそのときに欠損したものと思われます。
あまりにも長く欠損したままにしていた罪雪は深く、寺を守るものとして真摯に反省すべき事であります。
しかしながら、ようやくここにその時が来ました。
本年元日の明けの明星を見守りつつ、欠損していた宝剣を新調し智恵無限のご威光を取り戻されました。(明けの明星は虚空蔵菩薩のお姿とも言われます)
正月3が日、本堂正面に安置し清らかな新年の息吹とともに入魂供養をいたしました。

宝剣の輝きとともに、お参りいただいた皆様に智恵の享受がございますようにとの願いを込め、2月2日より頒布開始するための御朱印帳の祈祷も併せて行いました。

虚空蔵菩薩様は、智恵の仏様。
学業成就はもとより、芸事上達、就業安全、合格祈願、記憶堅持などの御利益を授かれます。
古くから行われている十三参りもしていただけます。
また、現世利益だけでなく、仏道、釈尊の教えを深く理解し忘れることがないという事から、安楽な来世を願うこともできるでしょう。
朱印帳の頒布に関しては、後日詳しくお知らせいたします。

虚空蔵菩薩様の智恵の宝剣が輝く表紙。

この世には、縁(えにし)という言葉が具現化する時があります。
今回この菩薩様の入魂にあたり、普段は台座から下ろすことなく行っていた年末のお身拭いを、特に念入りにするため台座から下ろしたところ・・・

安永7年戊戌秋に寄付されたとありました。
その昔、当時に七堂伽藍が存在していた頃、その坐禅堂の聖像として祀るため寄付されたようです。(大鳳山廣巌禅寺は、江戸中期までの寺名)
なんと今年はまさしく戌年。そして十干十二支では戊戌となります。
4回目の還暦の年が今年なのです。
長く欠損していたのも、時を待っていたのではないかと思われるような縁を感じました。
240年変わらず恵運寺と御参拝の方々をお見守りいただいている虚空蔵菩薩様に感謝し、年頭のお慶びを申し上げます。


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